遺産分割協議が必要な場合

遺産分割協議が必要な場合

遺産分割とは、相続人が複数あって、遺産が共有となっている場合に、相続人間で遺産を分配し各相続人の単独財産にすることをいいます。亡くなられた方の遺言による指定がない場合、遺産分割は、相続人全員の協議によって行われます。
民法に定める法定相続分は、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときの遺産の取り分であり、必ずこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。
遺産分割を工夫し、財産の取り分割合や、誰がどの財産を取得するかを検討することで、相続税のご負担が大きく変わる場合があります。

遺産分割協議が必要な場合

想定事例

父に相続が発生した。四十九日の法要を済ませたあと、遺された遺族である母と長男、次男、長女の4人で遺産分割協議を行った。主な相続財産は、自宅・高収益な賃貸マンションと金融資産で、相続税評価額は6億円(小規模宅地等の減額特例適用後)であった。母と長男は自宅に同居している。母の年齢は75歳(平均余命:約15年)であり、母には自身の親から受け継いだ固有財産2億円と、遺族年金の支給があるため、その後の生活には困らない状態であった。

民法に定める法定相続分に基づき、母が自宅、高収益マンションを含む2分の1の財産(3億円)を、残りの3人の子がそれぞれ6分の1ずつ(各1億円)の金融資産を取得することで遺産分割協議が成立し、相続税約7800万円を納税した。母は、配偶者の税額軽減の特例適用により相続税の負担が発生しなかったため、この時点で自身の固有財産と相続財産の合計で5億円の資産を保有することとなった。
15年後、母に相続が発生したが、この間に特段の相続対策は行っていなかった。相続財産の棚卸を行ったところ、マンションの賃料収入等ににより、相続財産は1億円増加し6億円となっていた。これを子3人で相続し、相続税の申告を行ったところ、納税額は約1億7000万円と、父の相続より納税額が大幅に増加し、一次相続(父)と二次相続(母)の合計税額は、約2億4800万円となった。

遺産分割協議を行うにあたり、相続税の申告を依頼する税理士に、二次相続まで想定した遺産分割シミュレーションを行わせたところ、母が相続財産の約〇割の〇円を取得した場合に、一次相続と二次相続の相続税額の合計が最小となることが判明した(一次相続〇円、二次相続〇円、合計〇円)。母は、税理士との打ち合わせで、自分には十分な老後資金があることが確認できたので、次世代にできるだけたくさんの財産を残したいと子らに伝えた。遺産分割はシミュレーション通り成立し、相続税約〇円を納付した。
相続財産が増加する高収益マンションは長男が相続し、孫らへの生前贈与も実施していたため、15年後に母が亡くなった時の相続財産は〇円となっていた。これを子3人で相続した相続税額は〇円となり、一次相続(父)と二次相続(母)を合わせた相続税額は、さらに減少し、〇円となった。

解説

配偶者については、取得した財産が法定相続分までなら相続税はかからず、また法定相続分を超えても1億6千万円までは相続税はかかりません(配偶者の税額軽減特例)。
したがって、一次相続では、この配偶者の税額軽減特例を最大限に利用することにより、相続税額を最小とすることが可能です。
しかし、二次相続までの相続税額でみた場合、一次相続と二次相続の合計税額が、逆に増加してしまうケースもあります。

また、二次相続が想定される場合に、高収益マンションなどを相続すると、相続財産を増やす結果となる場合もあるので注意が必要です。

もちろん、遺された妻については、その後の平均余命と生活資金、子の意向に振り回されず自身の判断で行動ができるような余裕資金や、子や孫への贈与計画を含め、どれくらいの遺産を相続するかが重要です。むやみに子に先渡しした結果、招かれざる余生を過ごすことになるかもしれません。

相続税額シミュレーションとのバランスで、最適な配分を決定することが肝要です。

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